デジタル化が社会の隅々にまで行き渡るなか、ビジネスにおいてもITが競争の鍵を握り、事業とITの両面を理解して企業経営・企業実務に携わることがますます重要になっています。しかしながら、産業界全般を見渡してもこのような人材の育成は必ずしも十分ではありません。そこで本共同講座は、京都大学と協力企業が連携して、大学教育の段階より事業とITの両面、ならびにこれらを適切に結び付ける企業経営について実務的に学ぶ機会を提供し、産業界全般から求められている人材の育成を行うことを狙いとしています。
講義は協力企業から業務におけるITの活用や経営課題の例を教材として得て進めます。従って、本共同講座の受講を通じ、ビジネスにおけるITの重要性を、様々な企業実務に基づき実践的に修得することが可能となります。必ずしも最先端の領域のみを求めた取り組みではなく、学理・実務ともに実効性、普遍性、そして持続可能性に重点を置いている点が今回の特長です。
講義の科目は、「企業におけるIT概論」として、IT投資、システム企画、業務とITアプリケーション(製造、金融、運輸等)等の内容を検討しています。また、プロジェクトマネジメント実践、業務要件定義実践、先端技術(AI、IoT、ビッグデータ等)の利活用実践等を予定しており、IT系からビジネス系まで幅広い科目群の提供を行います。
産学連携はこれまで先端の研究が中心でしたが、本共同講座は広く学生や社会人の教育という、産学連携の新たな価値創造を行うものです。本講座は、京都大学が新たな産学連携の形として、2018年に京都大学経営管理大学院と情報学研究科に設置されたもので(現在は経営管理大学院)、情報学という学問領域において、企業と連携することにより、学問としての理解に留まらない、実務レベルの活用について学習および体験する教育の場を創造するもので、本学の学生ならびに広く社会人に教育プログラムの提供を進めます。